皮膚科を受診される方へ

皮膚科とは文字通り皮膚の病気を診察し、治療する科目です。

皮膚は人体最大の臓器であるといわれ、外界からのバリア機能を担います。そして、免疫・代謝機能など、様々な生理機能を備えており、そのぶん皮膚に出てくるトラブルも様々です。アレルギーや炎症性疾患、膠原病、皮膚腫瘍、感染症など皮膚の疾患は多岐にわたります。

皮膚に出てくる症状でお困りのことがあればご相談ください。

具体的には、皮膚に湿疹(赤いボツボツ)やかゆみがある、やけど、虫刺され、日焼けによる痛み、にきび、水虫、いぼ、うおのめといった皮膚疾患はもちろん、皮膚腫瘍(皮膚のできもの)やほくろ、イボ、肌荒れやドライスキン(乾燥肌)についてもご相談ください。

また、爪や髪の毛についても診察いたします。巻き爪(陥入爪)、爪水虫、円形脱毛症などもお気軽にご相談ください。

よく見る疾患について下に記載していますが、これ以外にも皮膚に関わる病気はたくさんあります。皮膚に関係するものであれば、できる限り診療し快方に向かえるお手伝いができるよう努力しています。また、必要に応じて、地域の高次医療機関や大学病院に御紹介させていただきます。

なにかあればお気軽に受診いただければと思います。

主な症状や疾患

かゆみ

かゆみは目に見える症状ではないため、そのつらさや不快感は、ご本人にしか分からないものです。

搔けば掻くほどかゆみを増長させてしまいます。かゆみをコントロールすることが症状を改善させる方法の一つです。

一言でかゆみといっても様々な疾患によって引き起こされます。湿疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、かぶれ、虫刺され、水虫、水いぼなど、などといった皮膚疾患はわかりやすですが、内科疾患やできもの、薬が原因で生じることもあります。

症状と経過をみて、場合により検査をすることもあります。

「いつ・どんな時にかゆくなるのか」「どんなかゆみがあるのか(ムズムズする・ピリピリするなど)」などを、診察時に詳しくお伝えください。

湿疹

湿疹とは、皮膚の炎症を伴う一般的な皮膚病の総称で、様々な原因や形態があります。

湿疹の経過は多様です。赤い斑点(紅斑)から始まり、ブツブツ(丘疹)、水ぶくれ(小水疱)、膿をもった状態(膿疱)になり、徐々にかさぶた(痂皮)、カサカサ(落屑)し、慢性的に繰り返すとゴワゴワ(苔癬化)してきます。すべてが揃わない場合もたくさんあります。

湿疹を伴う疾患としてはアトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、貨幣状湿疹、痒疹など様々な病気があり、それぞれの特徴があります。

あせも

あせもは、汗を多量にかいた後に、汗がうまく皮膚の外に排出されず、汗が出る管が詰まることにより発症します。汗が大きく関係しますので、夏に多い病気です。

あせもには、皮膚の表面近くに汗が溜まってできプツプツとした無色のものと、それより深いところにできて、かゆみを伴う赤いあせも、さらに深い真皮内に汗が漏出して赤くない皮疹ができるボコボコしたあせもの3種類があります。

いずれも掻き壊すと広がったり、悪化したりする場合がありますので適切なケアが必要です。症状に応じて治療します。

アトピー性皮膚炎

主に乳幼児に見受けられる皮膚疾患と言われていましたが、最近は成人になっても症状が続いている、成人になってから発症するというタイプがあることがわかっています。増悪と軽快を繰り返し、すごく痒い湿疹が主病変となるのが特徴です。

年齢によって、発症部位が異なるというのも特徴です。生まれてすぐ発症することはありませんが、生後2カ月を過ぎたあたりから、顔や頭などを中心にかゆみのある赤くブツブツした湿り気のある湿疹ができ、さらに手足の屈曲部(肘や膝の内側)でも発症するようになります。そして1歳を過ぎる頃には、顔や頭に湿疹の症状はみられないものの、首回りや手足の屈曲部によくみられるようになって、発症部位は黒っぽくなって、カサカサ肌になっていきます。また思春期以降で発症している場合は、顔面や頭部、頸部、胸背部など上半身に皮疹が現れるようになります。

かゆみの症状が強く出るので、子どもであれば我慢できずに爪を立てて掻くようになり、それが症状を悪化させて、とびひなど別の病気を発症させてしまうこともあります。

過度なストレスや、飲酒、発汗や温熱、感冒が症状を悪化させると考えられています。

発症の原因については、完全に特定されたわけではありませんが、遺伝的要因や発症した患者さまご自身がアレルギー疾患にかかりやすい体質(皮膚バリア機能が弱い など)、ライフスタイルや温度湿度といった環境因子も関係するといわれています。

治療のゴールは症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障をきたさないで薬もあまり必要としない状態を維持できることとされています。このレベルまで改善しない場合は、症状はあるが軽度、日常生活に支障をきたすような急激な悪化がおこらない状態を維持することを目標とします。

症状の程度や個々の状況に応じて異なりますが、一般的な治療法は①薬物療法、②スキンケアと外用療法、③悪化因子の原因の検索と対策、となります。

小児アトピー性皮膚炎は大部分の方が正しい治療とスキンケアで成長と共に改善しますが、一部の方は症状が長く続きます。いづれにしても治療は長く根気強く続ける必要があります。

水虫(足白癬)

主に足の裏や足指の間、かかとなどの部位に白癬菌(カビの一種)が感染し、発症の際に皮膚症状がみられる病気のことを一般的には水虫と言います(正式には足白癬)。なお白癬菌は手(手白癬)や股(いんきんたむし)、頭部、体部、足の爪(爪白癬)などにも感染しますが、白癬菌に感染している半数以上の患者さまは足白癬に罹患しています。なお、足白癬に感染する原因は、不特定多数の人たちとの足拭きマットやスリッパの共有などが挙げられますが、白癬菌が足裏などに付着しても感染までには24時間かかるとされ、それまでに洗い流すことができれば感染を防止できます。ただ足裏に傷などがあれば、半分の時間(12時間程度)で感染してしまうこともありますので要注意です。

足白癬は、大きく3つのタイプに分類されます。趾間型は足の指の間(とくに足の薬指と小指の間)に発症するもので、一番よくみられるとされるタイプです。患部(足の指の間)に紅斑や小さな水疱がみられるほか、皮がポロポロ落ちるようになります。かゆみの症状も現れます。また小水疱型というのは、小水疱や小さな膿疱が土踏まずをはじめ、足指の付け根、足の側縁といった部位に数多く発生するようになります。水疱が発生する際は、強いかゆみがみられるようになります。また患部が乾燥すると皮がポロポロと落ちるようになります。3つ目の角質増殖型は極めて少ないタイプとされるもので、かかとや足裏の角層が肥厚化し、皮膚の表面がフケのようにパラパラと落ちるようになります。痛みなどの自覚症状はみられません。

治療については、主に抗真菌薬の内服か外用薬を用います。ただし、角質増殖型は同外用薬が浸透しにくいとされているので、抗真菌薬の内服薬を使用していきます。また、治療をするにあたっては、常に足を清潔に保っていく必要もあります。

蕁麻疹

じんましん(蕁麻疹)は、皮膚に円形や楕円形のはっきりとした赤い盛り上がりが、突然現れるのが特徴です。大きさは2〜3mmのから数十cmくらいまで様々で、これらがつながることもあります。多くの場合、直接的な原因は特定できていませんが、かゆみを引き起こすヒスタミンが放出されることで起きると考えられています。

通常は数時間~24時間で消えるのが特徴で、この症状が現れたり、消えたりを繰り返すようになり、1〜2週間程度(最大6週間以内)で治まってしまうものを、急性蕁麻疹と呼び、6週間以上のもの(長いもので数か月から数年に及ぶ例もあります)を慢性蕁麻疹と呼びます。また何らかの原因があって起こる刺激誘発型蕁麻疹は、その原因によってアレルギー性と非アレルギー性に分けられます。

アレルギー性の蕁麻疹は、食物や薬品、植物などに含まれる物質が、アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)となって、それに触れたり、それを食べたりしてから数分~数時間後に発症します。

非アレルギー性としては、物理性蕁麻疹があります。これは機械な摩擦や、寒冷・温熱刺激、日光照射などで引き起こされるものです。また、風呂上りや運動後など、汗をかいた際にアセチルコリンという神経伝達物質が関わって起きる「コリン性蕁麻疹」があります。

じんましんの治療としては、かゆみの症状が強い場合は、抗ヒスタミン内服薬を使用し、かゆみを抑え、症状が現れなくなることを目指します。重症例ではステロイド剤を用いる場合もあります。その上で、刺激誘発型蕁麻疹では、原因となるアレルゲンや、摩擦、寒冷などの条件を回避するようにします。

血管浮腫

まぶたや口唇が突然腫れるような症状を、血管浮腫(または血管性浮腫、クインケ浮腫)と言います。蕁麻疹は皮膚の浅い部分で生じる反応である一方、血管浮腫は皮膚の深い部位で起こる反応を言います。そのため、赤みなどの皮膚の変化はなく、かゆみも伴わないことが多く、単なる「腫れ(浮腫)」の症状だけが現れます。蕁麻疹は数時間でよくなることが多いですが、血管浮腫の場合は改善までに2、3日かかることがあります。また、皮膚だけではなく粘膜の浮腫も生じることもあります。口腔内や気道の粘膜が腫れた場合、呼吸困難感を感じたり、強い気道浮腫が生じた場合、窒息する危険性もあります。

血管浮腫は原因特定が難しいケースが多く、根本的な予防を講じることが困難となります。疲労感やストレスも誘因の一つとなるため、適度な運動や読書等でストレス発散をし、睡時間を十分に確保することも重要です。特に、疲れを感じた後に現れやすいのであれば、疲れを自覚し身体を休めることが重要です。

薬物療法では抗ヒスタミン剤を使用します。数週間ほど繰り返し血管浮腫の症状が再発する場合には、抗ヒスタミン剤を長期的に内服しなければならない場合もあります。

爪白癬

爪白癬とも呼ばれるもので、水虫罹患後に白癬菌が足の皮膚から爪に感染していくことで発症することが多いです。足の親指で発症することが多く、爪全体が白濁するなどして、やがて肥厚化し、変形などがみられ、次第に爪は脆弱化していくようになります。

感染経路に関しては、足白癬の患者さまが履いたと思われるスリッパやサンダルを共有する、不特定多数の人が使う足ふきマットを利用するなどが挙げられますが、24時間以内に白癬菌が付着した皮膚を洗い流すことができれば感染は防げるようになります。ただ、足の裏に傷がある場合は、その半分程度の時間でも感染することもありますので要注意です。

爪白癬については、外用薬では薬の成分が浸透しにくいので、抗真菌薬の内服薬を中心に使用していきます。このほか、足を常に清潔にしておくことも大切です。

いぼ(ウイルス性疣贅)

乾癬

乾癬とは、皮膚が紅斑し、盛り上がりをみせ、さらに鱗屑という銀白色のかさぶたのようなものを形成し、それがフケみたいにボロボロと落ちていく状態のことで、これが慢性的に続いている状態です。また自覚症状としてかゆみが現れることもありますが、それは全乾癬患者さまの半数程度と言われています。

なお乾癬と一口に言いましても、尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎などありますが、日本人の乾癬患者さまの9割近くが尋常性乾癬の患者さまです。なお日本人の乾癬の発症率というのは、0.02~0.1%とされ、中年男性がよく発症しやすいと言われています。原因については特定されていませんが、遺伝的要因に何かしらの環境的な要因が加わることで発症するといったことなどが考えられています。

尋常性乾癬では、上記のような症状が全身で起きますが、なかでも頭部、肘、膝、お尻など機械的な刺激を受けやすい部位で起きやすいとされています。

治療法については、ステロイドやビタミンD3の外用薬をはじめ、レチノイド、シクロスポリン、メソトレキサートなどの内服薬、光線療法(PUVA など)のほか、最近では生物学的製剤による注射薬が用いられるなど、完治は難しくとも症状を悪化させない状態を保つ治療法が増えてきています。

虫刺され

日常的な環境からレジャーなど虫にさされる場所は数多くあります。

虫の種類も蚊、ノミ、ダニ、ブユ、シラミ、ムカデ、ハチ、アリなど様々です。反応の仕方も個人差がかなりあります。

蚊に刺されると、刺された翌日になって赤く腫れ数日続く人、刺されてすぐ蕁麻疹のように赤く腫れてすぐに消える人、この両方が出る人、全く反応がない人など人によって反応は様々です。

一般的にはお子さんの方が腫れやすく、高齢になると反応が少なくなります。

また、ハチ類に何度も刺されると全身に蕁麻疹ができ、(息苦しさ、嘔吐、腹痛、悪心など(アナフィラキシー)を起こすこともあるので注意が必要です。

初期の対応がとても大切です。掻き壊して、とびひになったり、慢性化して痕に残ったりします。適切な薬を使用してなるべく早めに治すことがコツです。

かぶれ(接触皮膚炎)

正式には接触皮膚炎と呼ばれ、原因とされる物質に皮膚(肌)が接触することで、湿疹の症状(皮膚の炎症)が起きている状態です。一般的には、これをかぶれと言います。主な症状は、紅斑や水ぶくれ、かゆみなどです。

原因については様々あるとされ、大きく刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎に分けられます。前者はアレルギーとは関係なく、原因物質の強い刺激によって引き起こされるもので、例えば強酸や強アルカリの物質に触れる、刺激物質に繰り返し触れるなどして発症します。アレルギー性はアレルゲンとなる物質に触れることで発症するようになります。なおかぶれを起こしやすい原因物質は、植物(ウルシ、サクラソウ など)、金属、薬剤(ステロイド、抗菌薬 など)、日用品や化粧品といったものが挙げられます。

治療に関してですが、まず原因物質が特定していれば、その物質に触れない対策をとるようにします。かゆみや腫れなどの対症療法については、ステロイド系の塗り薬や抗ヒスタミン薬を服用するなどの薬物療法になります。

脂漏性皮膚炎

乳児と思春期~40代の世代に発症しやすい病気で、皮脂が過剰分泌する部位でみられる湿疹のことを言います。発症しやすい部位は、頭部や顔面、腋の下などで、人の皮膚に常在するマラセチア真菌が関係していると言われています。

乳児にみられる脂漏性皮膚炎は、生後2~4週間頃から発症するとされ、皮脂の分泌が多いとされる頭部やおでこの生え際を中心に黄色っぽいかさぶた、紅斑などの皮膚症状がみられます。自覚症状については、かゆみが現れることもありますが軽度であることが多いです。ちなみにこれといった治療をしなくても1歳を過ぎる頃には自然と治癒するようになります。

また思春期以降に発症する脂漏性皮膚炎は、主に皮脂分泌を促進させる男性ホルモンが関係しているとされ、慢性的に経過していきます(良くなったり悪くなったりを繰り返す)。主に頭皮や髪の生え際、鼻のわき、耳の後ろ、腋の下、胸、股間部、膝の裏などで発症しやすく、紅斑やフケのようなものがポロポロ落ちるようになるほか、かゆみがみられることもあります。

治療をする場合ですが、成人の場合は肌を清潔に保つということと、患部にステロイドの外用薬や抗真菌薬を使用するなどして症状を改善していきます。

にきび(ざ瘡)

医学用語では尋常性ざ瘡と呼ばれ、脂腺性毛包と呼ばれる毛穴で発生する慢性の炎症疾患です。にきびができる原因はとても複雑で、内因性と、外因性のものが相互に脂腺は、思春期から成人にかけて大きく発達し、その際に皮脂が多く分泌するなどして、毛穴(脂腺性毛包)を塞ぐようになって面皰(めんぽう)を形成していきます。次第にこの面皰を栄養源にして、皮膚の常在菌でもあるアクネ桿菌が増殖し、炎症が発症するようになります。これがニキビです。発症しやすい部位は、脂腺性毛包が集中している、顔、胸、背中です。また思春期を過ぎてからも、ストレス、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れ等によって、ニキビが発生することもあります。これは一般的に大人のニキビと呼ばれるものです。

なお面皰は発生するものの、炎症がみられていない状態を白にきびや黒にきび(白にきびの毛穴が開いている状態)と言い、炎症を起こしている状態を赤にきび、さらに悪化して膿の塊も現れていると黄にきびと呼ばれることもあります。なお黄にきびの状態で、適切な治療をしなければ、炎症が治まった後にクレーターのような凸凹した痕が残るようになります。これをニキビ痕と言いますが、このような状態になってしまうと元の皮膚に戻していくことが困難になるので注意が必要です。

治療に関してですが、保険診療では抗生物質の内服薬や外用のほか、ビタミン剤などが処方されます。ただニキビ痕やニキビをいつも繰り返しているという場合は、保険適用外の治療法(ピーリング、イオン導入)が有効です。また発症しないための予防対策も大切で、普段から規則正しい生活(睡眠をとる、ストレスを溜めない、偏食や過食に注意 等)に努める他1日2回程度の洗顔をする(洗いすぎに注意)などのスキンケアも大切です。また、にきびが気になって潰すなどすれば、にきび痕になるリスクが高まりますので、絶対にしないようにしてください。

手湿疹

炊事や洗い物、あるいは洗濯などの水仕事、あるいは紙を頻繁に扱う仕事などに従事する方に多い病気です。皮脂や角質が落ちてしまい、そのことで手の皮膚のバリア機能が弱まり、そこに刺激物質がふれることで手や指に湿疹が起きてしまいます。一般的には手荒れと呼ばれることもあります。

よくみられる症状は、指や手のひら全体が赤みをおびて乾燥し、手や指の皮(角質)がボロボロとはがれ落ちている状態です。また強いかゆみが出たり、ひび割れがあれば痛みが出ることもあります。

なお手湿疹に関しては、もともとアレルギー体質のある方が発症しやすいと言われています。また発症の原因となる仕事などが止められないという場合は、なかなか治りにくいという特徴もあります。

たこ、うおのめ

たこ・うおのめは、皮膚の一部が慢性的に圧迫や摩擦による刺激を受けて皮膚が厚くなる症状が特徴です。

たこは、皮膚が外側に厚く盛り上がりますが、芯はありません。一般的に痛くありません。

うおのめは、厚くなった角質が皮膚の内部に向かってくさび状に芯ができ、ひどくなると上から押されるなど少しの刺激でも強い痛みを感じるようになります。

たこ・うおのめの治療は、痛みが強い場合は貼り薬で硬くなった部分を柔らかくして取り除いたり、メスを用いて外科的に取り除いたりします。

可能な限り原因を除去し再発を防ぐことが大切ですが、骨の形や歩き方といった習慣は改善が難しいこともあるため、定期的に治療を行い疼痛をコントロールするということもあります。

その他良性皮膚腫瘍

良性腫瘍は、人体に及ばす影響は軽度とされ、悪性腫瘍のように生命が脅されるということはなく、増殖のスピードも遅く、転移することもありません。ただ、悪性腫瘍と見分けがつかないことも少なくないので、その場合は皮膚生検をするなどして診断をつけるようにします。

また多くは切除する必要はないとされていますが、必要以上に腫瘍が大きくなって神経などを圧迫しているのであれば、良性腫瘍であっても切除の対象となります。

良性皮膚腫瘍の代表的な疾患は以下となります。

粉瘤

ほくろ

脂漏性角化症

円形脱毛症

何の前触れもなく、毛が抜けてしまい、多くは境界がはっきりした円形の脱毛斑がみられるようになります。直径2~3cmの脱毛斑が単発あるいは2ヵ所程度出現する場合を単発型とよびます。頭全体に数ヵ所の円形の脱毛斑が多発する多発型、多発した脱毛斑同士がくっついて、さらに大きな脱毛斑を形成する多発融合型、頭髪がほとんど抜けてしまう全頭型、頭髪だけでなく、全ての体毛が抜け落ちてしまう汎発型というのもあります。

ストレスで発症すると思われがちですが、自己免疫が疾患の本体であると考えられています。

治療内容は症状の活動性によって異なります。軽症であれば、外用薬や内服薬が主体となりますが、脱毛部へのステロイド局所注射を行うこともあります。液体窒素による凍結療法、紫外線療法、局所免疫療法などが行われることもあります。

また、この病気は抜毛症(ばつもうしょう)と見分けることも重要です。

帯状疱疹

帯状疱疹は、刺すようなピリピリとした痛みと、帯状の赤い斑点と小さな水ぶくれが続いて現れる病気で、この症状から「帯状疱疹」という名前が付けられています。

水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化で生じる病気です。

抗ヘルペスウイルス薬の内服で治療を行いますが、早めの治療が効果的です。

水疱瘡と帯状疱疹の関係

はじめて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した時は、水疱瘡として発症しますが、ウイルスは水疱瘡が治った体内の神経節に潜んでいます。

そして、加齢やストレス、過労などが引き金となって免疫力が低下すると、体内に潜んでいたウイルスが再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に到達し、帯状疱疹として発症します。

皮膚に症状がでる数日~1週間ほど前より身体の片側にピリピリした痛みや違和感を生じることが多いです。

その後、徐々に痛みが強くなり、身体の片側の神経に沿って帯状に赤い斑点、水ぶくれが出てきます。

次第に乾いてかさぶたになり、場合によって痕を残します。皮膚症状が治った後も神経痛が残る事があります。

帯状疱疹の治療について

帯状疱疹の治療は、ウイルスの増殖を抑える抗ヘルペスウイルス薬を中心に行います。

抗ヘルペスウイルス薬は、飲み始めてから効果が現れるまでに2日程度かかりますので、すぐに効果が現れないからと服用量を増やしたり、途中でやめたりすることはいけません。

また、抗ヘルペスウイルス薬は、早く飲み始めるほど効果が期待できますので、気になる症状がおありの際は、どうぞお早目に当院へお越しください。

痒疹 (ようしん)

強いかゆみが伴う丘疹(直径1cm程度の皮膚の隆起)がみられる皮膚疾患で、その原因は虫刺されだったり、何らかの疾患(糖尿病、肝臓病、胃腸障害、血液疾患)、妊娠といったことが引き金となって発症することが多いです。

5歳以下の子どもが痒疹を発症することがあります。虫刺されによって引き起こされることが多く、これは急性の痒疹であり強いかゆみを伴います。この急性痒疹はストロフルスとも呼ばれます。

前日に虫にさされた場所が、翌日になってすごく腫れるといったパターンが多いです。

一方、慢性タイプでは症状が何ヵ月も続くようになって、皮膚表面も硬いイボのような状態になります。また慢性痒疹は大きく多形慢性痒疹と結節性痒疹に分けられます。多形慢性痒疹は、高齢者が発症しやすいのが特徴でわき腹や腰殿部などに丘疹が現れ、かゆみが激しいことから患部を掻き壊してしまうことも珍しくありません。また再発や寛解が繰り返されて慢性に経過するようになります。結節性痒疹は、青年期を過ぎた女性に発症しやすく、虫に刺されたような丘疹が手足にみられるようになります。これもかゆみの強い症状が現れるので、掻き壊すようになると丘疹は暗褐色になって硬くなり、やがて結節ができるようになります。

痒疹は、急性、慢性に関わらず、皮膚症状の治療としては、ステロイド系の外用薬や抗アレルギー薬の内服薬を用いるようにします。また基礎疾患のある方は、その治療も行っていきます。

薬疹

主に治療で使用する内服薬や注射によって引き起こされる様々な皮膚症状を総称して薬疹と言います。原因の大半は薬に対する免疫反応と言われています。しかしながら薬の使用と紫外線(日光を浴びる)が組み合わさって発症したり、ウイルス感染が関与する場合もあることが近年明らかになり、意外と単純な病気ではないようです。

薬剤を使用してはやくに症状がでることもあれば、2~3週間程度経過してから症状が現れることもあります。また、これまでは何の問題もなかった薬剤で薬疹を発症させてしまうこともあります。

よくみられる症状は、じんましんのような皮疹、小さな紅斑が広範囲に渡ってポツポツとみられる、円形状の発疹が多発するなどで、重症化すると目や口などに粘膜のただれ、外陰部に発疹などがみられるようになります。

基本的な治療は可能であれば原因薬剤の中止ですが、原因薬剤が同定できないこともあります。症状が強ければ外用療法と内服療法を組みあわせて行います。

原因と考えられる薬剤の使用を中止し、それによって改善傾向がみられても、そこから再び重症化する可能性もあります。